1章1節 聖書学とは何か

BibleStyle.com

初版 2008年4月6日

 「聖書学」とは、英語名の「Biblical Studies」が示すとおり、聖書を研究する学問の総称です。
 教会でも、「聖研(聖書研究)」という名のお茶会(?)をよく耳にすると思いますが、そこで使われるテキストの多くは、聖書学という基礎研究の成果に多かれ少なかれ立脚しています。
 また、日々私たちの手にする聖書も、聖書学の成果の結晶です。古来の多くの写本を比較検討して底本を編纂し、新約のギリシャ語や旧約のヘブライ(ヘブル)語などを解釈して、各国語に翻訳していくからです。
 さらに、他の神学諸科である歴史神学、組織神学、実践神学も、聖書学と深いつながりがあります。聖書研究に取り組むうちに従来の教義に疑問が生じたという16世紀の宗教改革は、その実例と言えるでしょう。

 聖書研究の総称である「聖書学」の内容や範囲は、神学諸科の分類と同様、時代や学派によって変化していますが、ここでは大まかに「聖書緒論」「聖書釈義」「聖書神学」に分けて説明します。
 なお、旧約の緒論・釈義・神学等をまとめて「旧約学」、同様にして「新約学」と分類することもあります。