14章後半にはユダヤの議会について書いてあったが、ローマの植民地だったユダヤではローマの裁判にもかけるのが普通だった。夜が明けてユダヤ人はイエスをローマ総督ピラトのもとに連れて行った。
ここでの罪名はローマに対する一種の反乱、つまりイエスは、どんな属国の王もローマの同意なしに支配してはならないという点に反するものとして罪に問われた。ご自分をユダヤ人の王だと認めてから、他の訴えには一言もお答えにならないイエスを見て、ピラトは驚いた。そしてイエスに罪はないが、ユダヤ人がねたんで、この裁判を起こしていることに気づいていた。ピラトは罪のないイエスをどう扱うか困っていたが、イエスを十字架に、と叫ぶ群衆の機嫌を取るために、とうとう十字架刑の判決を言い渡してしまった。自分の良心を裏切って、人々を恐れて保身に走り真理を曲げてしまった。
己のかわいさに真理を曲げたピラトと、無理矢理にだったがイエスの十字架という真理を一新に背負ったシモン。どちらのようにも生きることができる。